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自分の画才の無さに嘆くここ数年。
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風呂に入ってると,無性に書き物がしたくなったしだいです。

メモ帳に書き起こすと,なんだか大変なことになってしまいました。


それでもよければ,どうぞ。

「White Space」


0.壁

 深い,深い眠りから覚めた彼は,間抜けた声を出す。
「・・・ん?」

 彼は,周りを見渡し,それから バッ っと立ち上がった。
「こ・・・こ,って・・・?」

 彼の,驚愕に見開く眼に映るのは,彼の本来いるべき自室の風景ではなかった。
いや,むしろ根本的に,本来あるべき物・・・  先ず壁だ。
それが,彼の目を覚ましたその場所には,ない。
それどころか,色さえもない。言うなれば,白・・・。

 彼は,おそらく水平線まで平らで,まるで汚れることを知らないかのように純白の床の上で寝ていたのだ。

「・・・!?」
 彼はあんぐりと口をあけ,しばらく動くことすら出来なかった。

 そして彼は立ち上がって,まるで見たこともない場所に無理やりにつれてこられた猫のようにそこらじゅうを見渡す。

 

「・・・なんだ,ここ。」
 頭を動かしすぎて頭がくらくらしてきたので,周りを見渡した感想を誰にともなく言う。

 彼は,純白で奇怪な空間を,何をするでもなく,ただ,できることとして,歩き出した。


1.ダストボックス

 彼は歩いて,歩いて・・・。

 途方もなく歩いた末,ゴミ箱にたどり着いた。

 黒と青の中間くらいの色の,底辺の大きさに違いのある円柱形で,蓋の付いている・・・。ちょっとした施設に置いてあるような,大きなゴミ箱だ。

 真っ白な地面に,無造作に蓋をしたゴミ箱が並べられていた。

「なんだこれ・・・」
 彼は誰にともなく聞く。
しかし,目の前にあるのはゴミ箱。それ以外のなんでもない。


 彼は,無数に並ぶゴミ箱の草原を,何をするでもなく進む。


「・・・っと」
 白い地面に映える真っ白な空を見上げて歩いていると,彼はゴミ箱を蹴り倒してしまう。
ゴミ箱は,中は空なのか,コトンと,あっけもなく倒れ,蓋も,コロコロと,ゴミ箱の群れの中に転がって行ってしまった。

 彼が律儀にもゴミ箱を元通り立てようと,腰をかがめると,彼は,そのゴミ箱に違和感を感じた。そこで,彼は作業を中止し,ゴミ箱の様子を見る。

 その違和感がなんなのか,すぐにわかった。

 何も入ってないと思っていたゴミ箱の口から,赤い液体が漏れ出していたのだ。

「なんだ,これ・・・」
 彼は,つい先ほども口走った台詞を,再度口走る。
しかし,今度はただ単に不思議だから言ったという口調ではない。
明らかに,その口調には,不安が紛れていた。


 彼の憶測は,不幸にも当たった。
それどころか,予想以上のことが起きた。

 ちょろちょろと,赤い液体を垂れ流していたゴミ箱が,急に ゴボッ っという嫌な音を立てて大量の赤い液体を吐き出し始めたのだ。

「あうわっ・・あぁ・・・!?」
 彼は間抜けた悲鳴を上げて,後ろにのけぞり,真後ろにあったゴミ箱を,またしても蹴り倒してしまう。
すると,そのゴミ箱の蓋もはずれ,中から,とてつもない轟音が鳴り響いたかと思うと,何かが飛び出してきた。

 真っ赤な液体を,消防士のホースの如く吐き出すゴミ箱を背に,彼は,その何かが何かを,しかと網膜に焼き付ける。

 それは,黒っぽいくの字に曲がった何かと,それにまとわり付く,布・・・

 混乱の中,彼の脳は,それが何であるか,さらに詳しく認識する。
その結果,それが何であるか,彼は明確な答えを得る。

 それは,黒い拳銃を握った,丈夫そうな手袋をした手。

「・・・!!!」
 彼は,背後と,目の前の物に,いっしゅん,心を奪われたかのような錯覚を覚える。

 べちゃりと,すっかり赤く染まった床に崩れ落ちると,彼は,すっかりおびえきっている体に鞭打ち,生ぬるい液体を掻き分けるように,床を半ば這ってその場から逃げだそうとする。
だが,不運なことに,正常な判断が出来なくなった彼の手は,床ではなく,また,もう1つのゴミ箱を掻き分け,倒してしまう。

 そのゴミ箱からは,叫び声・・・。
そして,ドカーン と,耳を劈くような大きな音と共に,石のような物・・・,何かの破片が,吐き出される。

 その破片は,他のゴミ箱を倒し,そのゴミ箱からは,また,赤くて生ぬるい液体や,破片・・・

 ドミノのように周りのゴミ箱は倒れてゆく・・・

 肉片,怒号,轟音,硝煙,液体。

 彼はその異常事態に,もはや目の前すら見えなくなった。

 彼は恐怖も忘れ,走り出した。
ゴミ箱を蹴り,液体を跳ね上げ,破片や,部品を弾き飛ばしながら・・・

 

 

 長い,長い,まるで途方もなく続いた逃走の末,彼はついに力尽き倒れた。

 いつの間にかゴミ箱の戦場を離れ,周りは再び真っ白な孤独に囲まれていた。
そして,彼の意識も,段々と平静を取り戻してゆく。

 そして,彼は深い眠りに落ちた。
奇怪な,恐ろしい体験と共に・・・。









*******あとがき*******

ごめんなさい,続くかもしれません。

また,表現がおかしい!こいつ馬鹿じゃねぇのか!などの感想,ご意見,ご指摘については,この記事のコメントによろしくお願いします。

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