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自分の画才の無さに嘆くここ数年。
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文才?


ないないw


でも小説を書いてみました







うん,




欲求不満なんです


しかたないからオナニー(作文)したんです


人に見られないと満足できないんです。













あくまで変な意味を強調して読んだ人には反省して欲しいと思います

0.林檎

 彼が目を覚ますと,彼は一瞬呆けていたが,すぐに違和感を覚えた。
「っ・・・!?」

 驚くのも無理はない,彼が起きたその場所は彼の部屋ではなかったのだから。
しかも異常はそれだけではなく,いつもは敷布団で寝ているはずなのに,彼は何故かベッドに寝ていた。
「・・・。」

 彼は夢の続きなのだと思った。
なぜなら,前回目を覚ましたときも,同じような,奇妙な場所に居たのだから。
どこまでも白い床,空。壁も傾斜もない,途方もなく平坦な空間・・・。

 ただ,今回は,前回と違って,目を覚ました初期位置は,地面の上などではなく,ベッドの上だ。

 信じられないほどの白さの空間に,溶け込むほど白いシーツ,そして簡素なスチールの骨組み・・・。
丁度,病院のベッドと同じような型のベッドだ。
しかもご丁寧に,簡単なテーブルが,腰辺りの位置に設置してあり,そのうえには2つ,赤々と美味しそうなリンゴが並んでいる。

 彼はそれを見て,自分が空腹であることに気がついた。

「さすが夢だな・・・
腹が減るタイミングも,コレも,都合が良すぎるだろ・・・」

眉間にしわを寄せて,憎憎しげな表情で,思わずリンゴを手に取り,匂いを嗅ぐ。
怪しげなそれは,甘い誘惑で,彼の口を割らせようとする。

「・・・。
毒入りとか・・・?」
リンゴに恨み言のように言うと,リンゴを元の場所に置く。

 彼はしばらく考え込んで,ベッドから這い出し,名残惜しそうにリンゴを見る。

 鮮やかに赤いそれは,白い周囲の中で際立って見え,神々しくもあった。

 彼は,躊躇してから,その場を去る。


 取り残されたリンゴが,引き止めるように,そこに残っていた。

 

 

1.水

 真っ白な大地をてくてくと歩いていると,彼は急に違和感を覚えた。

 彼が好奇心に任せ,その違和感のする方に歩を進めると,突然,何かにぶつかった。
いや,ぶつかるというよりは,めり込む,と言った方がいいのか・・・。
とにかく,彼がぶつかり,めり込んだその中は,外の空間より圧力があり,それでいて,空気がない。
そのうえ,重力さえもないかのように,体をふわりと浮かせる。

 彼は無我夢中で元来た方へともがき,やっとの思いで外の世界へ這い出す。

 それの中から脱出すると,彼はびしょぬれになっていた。まるで川に飛び込んだように・・・
しかし,それはあながち間違いではなかった。

「・・・。
プール・・・?」
ようやくショックから我に立ち返った彼は,ぽつり,とそう言うと,ずぶぬれになったことなど気にしないような様子で立ち上がる。

 無臭の真っ白な世界で,見えないはずの存在を強烈な違和感で知らしめるそれは・・・。
カルキのにおいをさせた,液体の壁。
目の前で,どこからともなく降り注ぐ照明の光を屈折させて影を作るそれが,彼のぶつかったものだったのだ。

 彼は,目の前の状況に,それ以上口を開くことすら出来なかった。

 そもそも液体というものは,凍ったりしない限りそれのみで形を形成するようなことはまず,ない。
しかし,彼の目の前のそれは,流れる様子も見せずにまっ平らな地面に,当然のように壁を形成しているのだ。

 彼は,危険物にでも触るかの様子で,液体の壁に触れる。
すると,重力と水平方向に,波紋が広がる。

 ついに,不安を好奇心がねじ伏せ,彼の手を液体の壁に埋めさせる。

学校の,丁度夏休みに開放されたプールのように,生暖かい水が,手を飲み込む。
彼は,手を水の中に突っ込んだまま,おそらく,液体の壁と水平な方向に歩いてゆく。

すると突然,水の抵抗から手が自由になる。
彼は急なことに体のバランスを崩し,そのまま半回転。
重力に抗うすべもなく,ずて,っと地面に転がる。


 よくよく見ると,彼の触れていた水の壁は,永久にまっすぐ続いていたわけではなく,彼のずっこけた部分で折れ曲がっていた。

 これと同じことを,あと3回くりかえし,彼は,液体の壁が,液体で出来た立体の側面であると気付いた。

「・・・。
すごい・・・。」

 彼は,この異常な立体を見て,わけも割らぬ感動を受け,それを口にする。
そして,好奇心を満たすべく,じっと,それを見続け,周りを歩いてみたりした。


 すると,立体の中心に,何かを見つける。

「・・・?」

 中のものをよく見ようと,彼は立体に近づく。

 それは,葉っぱだった。
しかし,彼が見つけたのは葉っぱだけではなかった。
葉っぱは緑色だが,赤の光に染まっている。

立体の天井にから茜色の光が射しているのだ。
外の空間は,相変わらず無機質な純白だが,立体の天井から射す光は,万人を哀愁に誘わんとするような,優しく,寂しい茜色で,立体全体を色づける。

「夕日・・・。」

 彼はそう呟くと唐突に,濡れて重しになるようなものを一切脱ぎ捨て,立体へと飛び込む。
生ぬるい水が,体を包む。

 そして彼は,夕日をめがけて泳ぎだす。
見事な茜色の空を映す水面が,遥か上に見える。
遠い水面まで泳いでいると,流石に酸素が足りなくなってくる。

だが,彼はすぐそこにあるはずの側面から顔を出して酸素を補給しようともせず,ただ上を目指して足をばたつかせる。
すると,遥か遠くまであるように見えた茜色の水面が,すぐそこに近づいてくる様が見えてきた。
 

 

 そして

 

彼は顔を外界へ脱出させ,鼻や口を塞ごうと顔にまとわり付く水を払いのけて,大きく息を吸う。

「・・・っはぁ!!」

 

 そして,目を開け,戻ってきた茜色の世界を見渡す。

 

 

しかし

 

 

そこは

 

 

彼の知らない場所だった 

 

 

 

 


しかも,それだけであれば救われたものの,赤々と輝いているはずの太陽さえそこにはなく,ただ,白い向こう側が途方もなく開けているだけだった。

 

 彼は絶望を感じた。
膝が砕けたかのように力を失い,地に堕ちる。

いつのまにか,カルキ臭い液体の立体は消え,何もない世界の中心に,乾いた服を着た彼が取り残されていた。

だが,そんなことを気に留めることもなく,彼は疲れ切ったような,苦悶するような表情を浮かべ,膝を突いて真っ白な空を見上げる。 


 遥か向こうまで続く水平な白い床が,正常な世界を取り戻そうとした彼を,あざ笑うかのようにただそこに広がっていた。 
 

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